この記事は、2018/11時点のものです。 2019/2月の最新記事はこちらになります。


2018.11.16 ポケットモンスターLet’sGoピカチュウ、イーブイが発売されました。

携帯機の主力ゲーム、ポケモンシリーズの登場でSwitch売上にもブーストか!?

と思った矢先、何故か株価は10%安の大暴落の様相となりました。

業績からは考えずらいこの動き。以前から、大型株で個人から金を巻き上げる格好のおもちゃとなっている7974任天堂らしい動きですね。。。

 

果たして今回の暴落は原因は?? 分析してみましょう。

 

お約束のチャート分析

こちらが任天堂株価の「週足」です。

年明けごろに付けた50000円目前を天井に、下落気味のチャートでした。

一方で、下値としても、33000円(赤の抵抗線)が鉄壁の守りを固めている状態。

半年以上守り抜いたこの抵抗線が破られたことで、31000円台まで一気に下げが加速したものと思われます。

 

さて。

では、この抵抗線を破るほどの勢いはどこから発生したのでしょうか??

考えられる要因は3つあります。

  1. 米国企業「NVIDIA」につられた
  2. 米投資機関「Melvin Capital Management」による仕掛売り
  3. 業績不安

順番に考察していきましょう。

 

NVIDIAの連れ安

NVIDIAは、NintendoSwitchのGPUを提供している半導体メーカーです。

こちらがNVIDIAの金曜チャートです。

任天堂以上にひどい下落ですね。。。

記事1

要約:仮想通貨の暴落による市場収縮で、仮想通貨処理用GPUの需要も縮小し、在庫が急増

今年度の売上高も軟調となる見通しを示した。

記事2

要約:純利益1.5倍。自動運転向けテクロノロジーが大きく貢献。

 

別にNVIDIAの業績自体が悪化したわけではなく、GPUの将来的な価格暴落を懸念する動きのようです。

 

さて、問題は、これを受けた日本の記事

まるでNVIDIAが任天堂のGPU専任部隊みたいなデタラメ論調ですね。

NVIDIAから見たら、任天堂なんて所詮GPU提供先の氷山の一角でしかない。

NVIDIAの仮想通貨事業がコケた事と、NintendoSwitchの売上が鈍っている事に何の関係もないんですけど。

台風被害でキャベツが取れないから、全国のスーパーが潰れるんじゃね?

って話を大真面目に記事にしてるようなもん。どアホ。

 

そもそも任天堂の使用しているGPUは型落ち品の旧世代モデルやろ。

仮想通貨のブロックチェーン技術だったり、自動運転の人工知能を支える最新鋭のGPUが供給過多に陥ったところで、任天堂には何の関係もないと思いますけど?

むしろ「仕入値が下がる」んだから、新型Switch発売時期を前倒せるとか、メリット享受の方が大きいくらい。

これはあまりに短絡的すぎる。

本当にこれが原因で下がったのであれば、馬鹿どもが来週事実に気が付いて反転バク上げですね。

 

 

Melvinによる仕掛け売り

Melvin Capital Managementとは、アメリカのヘッジファンド。

任天堂に限らず、大規模な空売りを仕掛ける短期投資が多いようで、そのターゲットとして任天堂にも白羽の矢がたった可能性。

機関の空売情報

実際にこの通り、6月~7月にかけて、任天堂に報告義務が生じるくらい大量の空売りを仕掛けた証拠が残っております。

このあたりで記事にもなっています。

そして実際にこの時期には、任天堂の株価は4万円を下回り、しつこいくらいに33000円の年初来安値を攻める動きとなっています。ちょうど私が前回の暴落記事を書いたような時期と重なりますね。私自身も、「何が何でも下げてくれなきゃ困る大人たちがいるとしか思えません」と書いていましたが、その犯人、コイツだったのかもしれません。

問題の論点は、果たしてこの”メルビンちゃん” 略して、メルタンの売ポジションがどうなったか?

噂によると、このおノロマさん、平均36000円の空売りポジションを500億円以上抱え込んでいたそうです。そして最後はどうなったかというと、2Qの決算発表前のある日、

 

社内の計算間違いでした。報告義務が生じるほど売ってませんでした。メンゴメンゴ。

という謎の発表を残して、消息を絶っていたんです。

 

余りにも目立ちすぎた上に、どんなに頑張っても33000円を下回らない株価に、事実上の敗北宣言かとせせら笑っておりましたが、実は売りポジションを持ち続けていて、ピカブイ⇒スマブラと続く年末商戦の皮切りを前に、なりふり構っていられずに売ポジ処分のための大暴落を演じた可能性があります。

 

このケースの場合、メルタンが30000円割れ目前で満足して撤退しているのであれば、来週以降は、他の機関も含めて「大バーゲンセール中」となるので、徐々に値を戻す展開になると思われます。最悪のケースはメルタンがまだ懲りていないパターン。この場合、来週以降もいずれ仕掛け的な売浴びせが発生するでしょうね。。業績関係なく。

 

業績不安

最も王道の株価要因。

ここまでの酷い下げを正当化するには、ピカブイが大コケする必要があります。

 

先に言っておくと、今回のピカブイはこれまでのDSシリーズより、「初動売上」は大幅に少なくなると予想されます。それはこれまでポケモン本編はハードの普及期に発売したことがないからです。ポケモンの担う役割は、ハードサイクルの中盤において、”兄弟向けの2台目需要” ”新型機への買い替え需要” を掘り起こす事だったのかもしれません。原則、2バージョン同時発売となることから、1人で複数台ハードを所有するメリットをアピールできる商品ですからね。

初めて”ハードの牽引”という役目を背負ったポケモン。これまでのような爆発力があるわけではなく、来年(2019年)の年末商戦以降でも太く長く売れるソフトになる可能性が非常に高いです。特に小中学生は、「サンタさん」「お誕生日プレゼント」まで待たされることが多いですからね。

その意味では間もなく発表される初週売上で評価を下すのは時期尚早なのです。

少なくとも今年の年末商戦を終えてみないことには、このソフトの評価は下せないですね。

 

また、今年は君島社長が広げたSwitch2000万台の大風呂敷ばかりが話題になりますが、売上高、純利益ともに昨年度実績を上回ってます。確かにハードこそ、2Q時点で、500/2000万台という事で、今年の年末商戦に相当頑張らないとハード売上目標は難しいのは事実です。

 

一方で、既に名作として評価が確立した「マリオオデッセイ」「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」や国内で絶大な人気を誇る「スプラトゥーン」を発売した昨年に比べて、

今年の目玉ソフトは、「ドンキーコング」「マリオテニス」「マリオパーティ」くらいの粒しかありませんでした。(Laboは残念ながら、ブームとまでいきませんでしたし。)

むしろ、よくこのレパートリーで、昨年度実績をキープしたな、と褒めるべきところです。

これは逆に、予想以上にソフトの売れ行きが良い兆しかもしれません。

 

ここに、ポケモンとスマブラが加わる年末商戦。

10%も暴落するような理由は本来どこにもないんですけどねぇ?

 

 

で、結局は?

色々と考察しましたが、株価の動きは複合的な要素が絡み合います。

もっともありそうなパターンを考えるのであれば、近代の”アルゴリズム投資“の悪影響ではないでしょうか。

いまや、大口機関の投資はすべて機械まかせの自動売買だといわれています。

 

今回の任天堂で言えば、「33000円を下回ったら強い売りシグナル」というのはだれの目にも明らかでした。

さらに、任天堂の関連銘柄として、NVIDIAをマークしている投資機関も多かったのではないでしょうか?

「トヨタ自動車」の経営が傾けば、その部品を提供する「デンソー」「アイシン」などの企業の経営も怪しくなる。トヨタの悪いニュースが上がればこうした関連企業にも売りを発注する自動売買がプログラムによって仕組まれている世の中です。

「任天堂」と「NVIDIA」もこうした関係で捉えられていた可能性は高いです。

「NVIDIA」の売りは「任天堂」の売り。

人間であれば、仮想通過問題とゲーム業界では影響が隔離されていることは推測できますが、今の人工知能は未だこの領域にはたどり着いていません。キーワードレベルで過去の傾向を分析して予測を立てるのが限界です。

 

NVIDIAの「売」に反応したアルゴリズムが任天堂も「売」と判断

便乗してメルタンが、33000円割れまで無理やり空売りを仕込む

33000円割れの強烈な売シグナルに各社のアルゴリズムにて「売」注文が殺到

思いがけない大暴落に、慌てた個人投資家も現物を手放す

 

こうした一連の流れで10%超えという10年に一度の大暴落が演出されたものと思われます。

 

さて。この先ですが、問題は「慌てた個人投資家も現物を手放す」が進んだか、です。

結局ところ、大口機関は個人投資家の金を巻き上げることが仕事です。慌てて個人が放出した「相場より安い株券」を喉から手が出るくらい欲しているわけです。

こんだけの大暴落を演じても、「任天堂は大人気!株価もすぐ元通り!」と信じでガチホする私みたいな個人投資家ばかりだと、バーゲンセールなのに、商品がないw って状態に陥ります。

逆に個人投資家がたくさん手放してくれれば、その株券を買い叩けますので、仕込み完了です。あとはゆっくり株価を戻していけば、利益を頂けるわけです。

 

さて、果たしてこの暴落で振り落とされた個人投資家がどれだけいたか?

今後の株価の行方はそれ次第だと思います。

 

 

2019.1.5追記

2018年度決算考察記事をまとめました。こちらも参考までにどうぞ。

 

 

By triumph

8 thoughts on “大暴落中の任天堂株は3万円を割るか?”
  1. とうとう3万割れてしまいました。。底なし沼のようで恐ろしいです。
    どこで収まるか全くわかりません。。

  2. 皆さま、コメントありがとうございます。
    ついに3万円を割ってしまいましたね。。
    もはや任天堂の業績や巨大投資機関の意向ではなく、アメリカの中心の世界的暴落の行方次第ですね・・・

    ひとつだけ良いニュースをお伝えします。
    https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201812130249
    米キャピタル・リサーチは上で紹介したメルビンちゃんと違って、長期保有前提の優良投資機関のようで、任天堂にとっても十数年来の大株主です。
    今のような”値ごろ感”が出るたびに定期的に追加投資をしていますので、
    配当リターン2%↑という現状に、買い判断をしているようですね。

  3. ちなみに、私もかれこれ、10年近く任天堂株を保有していますが、
    毎年、12月は大概が陰線です。
    その多くが今のような理不尽なまでの下げです。

    そして年始早々、年末なんてなかったかのように反転爆上げします。
    いわゆる、新年ご祝儀相場というやつですね。
    これは完全に私の記憶だけの話で根拠も何もないですが、任天堂の業績が良い年ほど、
    顕著に(≒露骨)表れている気がします。

    なので、個人的には、「今年も年末の風物詩が来たか」程度に構えてます。
    年度末の決算期には余裕で35000円なんて超えてるでしょう、どうせ。

    ただし、株の世界に「絶対」や「いつも通り」は厳禁です。
    皆さまの大切なお金です。危ないときの損切が何よりも大切です。
    特に2019年。リーマンショックから10年以上経過しており、ダウも日経も怪しげな月足になってきています。
    無理のない範囲で、どうぞ、一緒に耐えましょう。。

  4. 今日が底である事を切に願います。ブルームバーグでは中村氏の中傷に似た記事が踊っていますが、ヒット作に恵まれてないという根拠はなんなのかいまいちわかりません。
    スマホマリオカートや任天堂USJもすでに株価に織り込み済みと言われていますが、本当なんでしょうか?
    含み損がふくらんで終わる年末ですが、来年は少しでもいい年になればと思っています。
    またなにか展望があればどうかご指南ください。
    宜しく御願い致します。

  5. 厳しい日々が続いています。騰がったために、下がる必要があるのでしょうか。そして、同様にサイクルで、下がったために、騰がる日が来ますね。どうぞ引き続きよろしくお願い致します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください